変愚蛮怒
上をみればキリはないけれども、ないものねだりをしなければぼくは戦える。
気がついたらほとんどの必要なものを気がついたらもっていることに気がつく。
もっとも、そのためにあまりうまくない慣れない二刀流をすることになったけれども、それに必要なものもピンポイントで手に入っている。実はぼくって運がいい?
そう、それと、今ぼくがやっている、その、赤きエリート…その異名は実は名目だけでなく実質もともなっているのだ。
中途半端だけれども、華はないけれども、魔道師のくせに上級魔法書はどれもつかえないけれども、同じことをもっとうまくこなす人はいくらでもいるけれども、おおよそ考えられる限りの全てのことをぼくよりうまくこなす者もいるけれども。
でも、自分の力で、ほとんどの者ができる技術で、できなくて困ることはない。
ということは、できなくて困ることは、ないということなんだ。
輝くものとか、羽ばたくものばかり注目されるけれども、
輝かなくていい。羽ばたかなくていい。それがぼくの生きる道。
輝いたら消える。羽ばたいたら撃ち落とされる。そうだろ?
ぼくはひっそりと地をもぐり這いずり回るもの。だから、そう…
そう、ぼくは死なない。
<レッドメイジの走り書きより(4)>*1