Dungeon Crawl
エルフの大広間第7層。後に残るのは静寂。
そこに築かれていた闇エルフの大広間も、ついにほぼ陥落することとなった。
今では、わずかに残った闇エルフの雑兵が、何をすればいいのかわからずうろうろするだけである。
第7層。ここは、闇エルフの大司祭や破壊者や悪魔導師が、奥に溜め込んである宝の山を守るための最後の場所。
奴らは、地獄より大悪魔を召喚したり、強力な破壊攻撃魔法を唱え、侵入者を抹殺する。
のだが、闇エルフどもは妙な違和感を覚える。音がいっさいしないのだ。
呪文を唱えようとするが自分の声が聞こえない。
彼、あの、このエルフの大広間に侵入したホビットが『静寂』の魔法を唱えたのだ。
この魔法は、術者の周りの音を遮断する魔法。よって、呪文詠唱ができなくなる。
能力の大部分を魔法に重きを置いている闇エルフにとって、その『静寂』の魔法は致命的であった。
なんとか、剣や『静寂』の範囲外からの魔法で彼に一矢報いたりしようとするが、
結局残ったものは、闇エルフが大量にオカワル様に捧げられたあとの「静寂」であった。
…ちなみに、彼はその魔法が載っている魔法書を、こともあろうにこの場所で拾っていた。
奥には、右の部屋には財宝が、左の部屋には魔法のアイテムや武器防具がどっさりとつまれている。
その中で宝物を漁る彼。彼のザックにとってはそこの宝はだいぶ多いようで、そのせいでだいぶ難儀していた様子、歪曲武器で危ない目に遭ったりしたりしていたが、要る物だけ…彼が使う可能性のある有用な物…だけをピンポイントで持ちさっていった。
後に残るのは静寂。闇エルフ大広間のシンボルであった泉も、彼によって枯らされていた。
【淵でもがく小さきものよ……】
<第28話:闇に静寂を>