ドヤジのメモ帳

ドヤジのメモ帳

Dungeon Crawl


 そこに残るのは、巨大棍棒。頭から血をダラダラと流しているスリングを構えた小さき人。そしてオーガ。


 動いたのはオーガ。
 しかし、オーガはそのまま崩れ落ちる。血まみれのホビットのかすかな安堵。


少し強くなった彼はゴブリン程度の敵には容易に負けなくなったものの、スリングだけでは対処しきれないこのような大きな怪物も立ちふさがるようになる。生き残るためにはここで拾えるあらゆるものを有効に使わなければいけないのだ。
彼がコボルトの一団に襲われた時、その一匹が妙なものを口にくわえていることに気づいた。即座に小さな針が飛び出してくる。彼はすばやく避けた…ものの次々と針が飛んでくる。
なんとかその針をかわしてスリングでコボルトをしとめる。
あとに残った物は、棒と針、この棒を口に含んで吹く息で針を飛ばすという使い方をするらしい。
ずいぶんと弱そうな武器だが、針のほうに毒が塗られている。


これは使える。スリングと性能がかぶるが、毒による持続ダメージ、いざとなったら、毒を当てて逃げている間に追っかけてくる敵が毒で勝手に倒れてくれることを考えるとこちらのほうが使う機会が多そうだ。


ここで拾えるあらゆるものといえば、妙な本を拾った。ツキマーなんたら、とか書いてあるみたいだが、魔法書に対する理解がまだない彼にはそれ以上よく読めない。
しかしこの本が後々、彼が生き延びるために大きな手助け…おそらくは最も大きな助け、になるだろうとは、その時彼は知る由もなかった。


【淵でもがく小さきものよ……】
<第2話:生き残るために、手段を、拾え!>