ドヤジのメモ帳

ドヤジのメモ帳

Dungeon Crawl   

 ……ふいに、どさりとした音がした。
 叫び声、怒声、喧騒。
 そして魂がすすられたような悲鳴と普通の悲鳴がまざりあう。
 しばらくすると静かになった。


オークの戦士、長剣を構えプレートメイルに身を固めた姿はオークとはいえ立派な屈強な戦士だ。
そのオークの戦士は、何人かの手下のオークを引き連れて、ダンジョン内をさまよう貧弱な冒険者から
金品と命を奪おうと待ち構えているよくいるオークの戦士のうちの一人だが、そうそう冒険者は訪れるものでもないので寝ていたのだ。


そして、そのオークの戦士は二度と目を覚ますことはなかった。


異常に気がついたオークが叫び声をあげる。一匹のホビットダガーでオークの戦士を不意打ちの一撃で刺し殺していたところだった。
叫び声で周りにいたオークの手下は全員目を覚ます。隊長がやられ散り散りになって逃げていくと思いきや、そうではなかった。
その彼の貧弱そうな外見と、彼の持つわずかなお宝目当てで、残り全員で襲い掛かったのだ。


すかさず応戦する彼、ダガーを振り回す。そのとき一番前にいたオークに突き刺さる。
そのダガーは負のオーラを帯びていてダガーから発せられる負のオーラがオークの生命力、経験値、を奪う。
魂がすすられるような叫び声をあげるオーク。


負のオーラを帯びているとはいえダガーでは正面からの戦闘で奴らを殲滅できないと思ったのか、彼はショートソードに持ち替える。


しばらく経って……そこに残ったものは、オーク製の武具と…新たに数箇所に傷を負ったホビット、そしていくつかのオークの死体。


そのうちオークの死体は全て爆発音とともに消え去り、
傷ついたホビットは、少ししてから、立ち去った。


【淵でもがく小さきものよ……】
<第5話:掠奪にはより鋭い掠奪を>