ドヤジのメモ帳

ドヤジのメモ帳

Dungeon Crawl   


 棘カエル、コモドドラゴンヒドラ、凶暴な獣がホビットに襲い掛かる。


獣の棲み家、物資乏しくなった彼が逃げ込んだ先は決して彼にとって安住の地ではなく、まさに凶暴な獣の棲み家だった。
凶暴で素早い獣は、ここでも容赦なく彼に襲い掛かり、とても手痛い打撃を浴びせる。


そして、そうこうしているうちに、生き延びるために最も大事な物、食料、もそろそろ尽きかけてきていた。


しかし、彼が前に手に入れた魔法書『ツキマー』。そして悪戯程度の魔法しか載っていない悪戯の魔法書、これらに載っていた魔法を彼が学んでいたことが、ここで、いや、これから先ずっと、役に立つ時が来たのだ。


『ツキマー』その魔法書には、武器を意思を持つ踊る武器に変え、敵を攻撃させる魔法『ツキマーの舞踊』が載っている。
これによって作られた踊る武器は、彼の命のまま、どんな強敵にも深手を浴びせる。
攻撃を受けたり時間で魔力が切れてしまっても、また拾ってかけなおせばまた使える。


悪戯の魔法書には、「混乱の手」という魔法が載っている。この魔法は素手で攻撃した時のみ、当てた相手を混乱させる。わざわざ素手でしかも接触しなければ使えないためLVの低い魔法なのだが、接触して当てるために極めて精度が高い。


このように、『ツキマーの舞踊』の魔法で、踊る武器で敵を攻撃し、接近してきた敵を混乱の手で混乱させる。
あとは踊る武器に任せてもよいし、彼の鋭いダガーで敵の防御の弱いところを狙い刺しても良い。


これで理論上、彼にとって、勝てないという敵がいなくなった。


しかし、「生き延びること」と「理論上勝てない敵がいない」のはまったく別のお話である。


【淵でもがく小さきものよ……】
<第10話:ダンスマカブル>