ドヤジのメモ帳

ドヤジのメモ帳

Dungeon Crawl   


不思議のデッキ。
何枚かのカードが収められており、そのカードには奇妙な絵が描かれている。


そこから無作為にカードを1枚引くと、その絵柄の魔力によって不思議なことが起きるらしい。
モダンでトリッキーな神が創ったという、そのカードの束を、ここまでに彼は2組手に入れていた。


何が起こるかわからない。危険なことも起きるかもしれない。
彼は、いつ使おうか迷っていたものの、ここで全て引ききることにしたのだ。


そのような迂闊なものには大抵の場合、大きな代償を払うことになるのが常である。
彼の元に5体もの死神が彼に死を与えるため送られてきた。


だが、彼は瞬間移動で距離を取った上で、なんとかその死神を1体ずつ倒す。
死神を倒した彼は、不思議のデッキの効果に懲りるどころかさらに引き続ける。


様々なことが起きる。
突然ひどく不器用になるかわりに驚くほど腕力がついたり
突然、空間がゆがむようになったり
危険なので突然変異治療の薬を飲んだ、直後に引いた凡庸な絵柄なカードを引き、
その効果により全ての突然変異が治療されたり
さらに死神の群れが送られてきたり


そのうちに一組の不思議のデッキの中のカードが切れる、それでも片方のほうから引き続ける彼。
さらに、彼がもう一組のほうのデッキも引ききってしまった。
とても腕力がついたために今までよりも荷物を多く運べるようになったものの
とても不器用になったために、今まで使っていた短剣が少し振るいにくくなった気がした。


そして、その場所には、死神の使っていた大鎌がたくさん散乱して残っていた。


【淵でもがく小さきものよ……】

<第33話:己を賭けるカード>