ドヤジのメモ帳

ドヤジのメモ帳

Dungeon Crawl   


彼はこうしてゾットの領域へと足を踏み入れた。
あたりは、色で表すと、「紫がかっているが紫とは言い切れない」という感じの、不気味な空間だった。
生ける者が生きれていられるのが不思議という感覚とも違う。
あたりには生命を直接脅かす瘴気や溶岩の類は見つからなかった。
だが、行く手を遮る敵はやはりドラゴンをはじめとした強大な奴らばかりである。
ドラゴンを倒した彼が息をつくと、その先にトウモロコシを見つける。彼は食料に困っていなかったが、拾…何かおかしい?


そのトウモロコシは猛スピードで彼に迫った。死のトウモロコシ。
高速で繰り出される攻撃をかいくぐって短剣を振りかざす。
しばらくして、トウモロコシがぽとりとおちてふっと消えた。


この領域には、他にもこんな奴らがいる。忿怒せる蛾、殺人ピエロ。
こんな奴ら、コミカルな外見とは裏腹に、油断はならない。
奴らが気づく前に、彼は奴らの懐に潜り込み、短剣で一気に突いた。


【淵でもがく小さきものよ……】

<第41話:ゾットの領域>