ドヤジのメモ帳

ドヤジのメモ帳

Dungeon Crawl   


制圧済み蜂の巣。そこに設置したベースキャンプにたどり着き、一息。
ベースキャンプといっても、そこには、これまでのダンジョンのめぼしい財宝がまとめて置いてあるだけだが
一つ上の階の制圧済み獣の棲み家にも、同じようなベースキャンプを設置してある。


そこで、持ち帰るアイテムを、そこで手に入れたものは大変貴重かつ思い出の品。そこに置いていくのは惜しい。だが、彼の持てるアイテムの量は限られている。あと3つぐらいしか彼が持って帰ることはできない。
しかも、ぼやぼやしてはいられない。そこで一息つき、地上に持ち帰るアイテムを選別している間にも
地獄の住人が彼の前に立ちはだかる。
緑の殲滅者が毒ガスをばら撒きながら現れた。
彼は、その中で目星をつけたアイテムを素早く拾い、奴をすり抜け逃げる。そのベースキャンプには殲滅者が残された。


こうして持てるだけのアイテムを持ったら、あとは脱出あるのみ。
定期的に襲い掛かる地獄の住人をすり抜け、ひたすらすっとび走る。


1Fまでたどり着く。彼がはじめてそのダンジョンに立ち入ったときの第一歩を踏んだ場所。
上り階段。これが地上への脱出路。哀愁。
その哀愁をそこに現れた氷の魔人がかき消す。全力で切り倒した。そして…


地上への階段を上る彼。もうそのダンジョンに戻ることはない。ふと、後ろを振り返ると、ダンジョンへの入り口も閉ざされていた。
彼は、ともかくも★『ゾットのオーブ』を地上に持ち帰るという偉業を成し遂げ、全ては終わったのだ。


このダンジョンにはじめて立ち入ったときは小さなひ弱なスリングを必死に振り回すホビットだった彼。
今はその面影もほとんど残さない彼が、地上に戻ったその後…ある時こう呟いたという…


…くすっ…


【淵でもがく小さきものよ……】

<最終話:オーブをかかえて脱出、奇跡の生還。>{完}  脱出ダンプ