ドヤジのメモ帳

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電力会社:原子力発電所考察

リアルで散々なことになっているほうではなくて、
ボードゲーム「電力会社」のほうについて考察を行います。*1
なお、ここではリアルでのどうたらこうたらが、ゲームにこう反映しているでしょう的な考察は行いますが
リアルでどうすべきでした的な考察は一切行いません。


このゲームはざっくりと言って、発電所競り落として、自分の発電網を伸ばして、
発電した分に見合う収入を得て、それを元に新しい発電所を競り落としたり、新しい発電網を伸ばしたりして、
最終的には誰かが一定以上に発電網が広がったときに一番自分発電網に電気を送れた人の勝ちというゲームです。
ちなみに、自分の発電網全てに電気を送れなくても、とくにペナルティはありません。
(もちろん、自分の発電網に電気を送れた分しか収入は得られないので、機会損失という見方は可能か。)


そして、このゲームの発電所は、石炭・石油・産業廃棄物・原子力・風力の5種類*2あり、
発電するためには発電時にそれぞれ指定された分の燃料が必要となります。
そして、燃料は市場に今ある数に応じた価格(多ければ安く、少なければ高い)が設定されているために、
同じ燃料を使う人が多ければそれだけ燃料にお金がかかり、また、毎ターン一定量が補充されるものの、
最悪の場合はそのターンは市場から尽きてて買えないということが起こりえます。
風力は、燃料が不要ですが、その分発電力は低めです。
(燃料がいらない夢のパナウェーブ核融合発電所というものがあるが、ここでは風力と同義として扱います。)
なお、環境への影響や事故/災害の要素はオミットもしくは平準化されています。


で、それぞれの序盤・中盤・終盤の同程度の出力の発電所を比較すると…
(なお、同出力内の発電所間で、最も最低競り価格の安い発電所をモデルとする。)

発電量 石炭 石油 炭or油 廃棄物 原子力 風力 備考*3
8(3) 7(3) 12(2) 14(2) 11(1) 18(-) *4 *5
15(2) 16(2) - 19(2) 23(1) 27(-)  
- - 21(2) 24(2) 28(1) 33(-) *6
20(3) 26(2) - - 34(1) 44(-) *7
31(3) 32(3) - 30(3) 39(1) 50(-) *8 *9
36(3) - 46(3) 38(3) - -  


意外なことに、他の石炭/石油の発電所と比べて、競り最低価格が高いにも関わらず、出力が低めです。
風力よりはさすがにマシですが、風力は燃料代不要なことを踏まえると、序盤は特に差がないです。
高い出力を持ち効率的な発電方法と聞いていただけに、この設定は意外に見えますね。
これは、競り最低価格の高さは、立地周辺への補償費用や災害予防などにかかる各種もろもろの維持費、
を考慮したためでしょうか…
そして、出力のイマイチさについては、頻繁に各種点検を行う必要があり、その間動かせないことによるロスや、
本来電力供給は日々の需要に見合う分「だけ」供給しなければならないのに、
原子力発電はその供給量の調整が無理なことによるロスが考慮したためでしょうか…謎です。


しかも、原子力発電所の発電量は、基本発電所カードセットでは、一番高いのが「6」(最低競り価格:39)、
2番目に高いのが「5」(最低競り価格:34)、3番目が「4」(最低競り価格:28)
パワー「4」では最後まで使うには発電力不足なので、勝つ人が最後まで使うのは1番目、せいぜい2番目まで。
てか、石炭/石油/廃棄物の発電所は発電量「7」が存在するのに、原子力は「6」というのはどういうことでしょう?*10
これも、原子力発電は、将来的に衰退しそうというドイツ/アメリカの事情を反映しているのでしょうか…謎です。


燃料価格も、マップによるものの、ほとんどのマップでゲーム開始時はとても高いです。
当ゲーム的で原子力発電は、単体で見るとかなりいまいちに見えます。


ただ、弱い分、誰も積極的には原子力発電を選択しないうえに、
基本発電所カードセットでは、競りに出る発電所の数が少なめで、発電に必要な燃料の数がどれも1つです。
対して市場に毎ターン供給される燃料の数は、人数によって異なるものの、5〜6人時は、1ターンに2〜3ずつも。
よって、序盤の燃料代こそ高いものの、終盤に向かうにつれ、燃料代はどんどん下がっていきます。
おかげで燃料取得競争が起こりにくく、燃料の枯渇が起こりえません。
そのため、終盤は燃料にかかるコストが安くて良い発電所となります。


ということで、原子力発電所は、まともに数がなく、高初期費用の割にそれほど高くもない出力で弱いけど、
その分、原子力発電を採用するところが少ないので、燃料取得競争にならないことによって、
結果的に他の発電方法より効率的な発電所になりうるってバランスになっているようです。なるほど…
ちなみにこのゲームが発表されたのは2004年だそうです。

*1:公式で拡張日本マップがロシアマップとセットだったのはフラグだったのだろうか…不穏なことをつぶやいてみる。

*2:あと、石炭/石油どちらも燃料に使用できるハイブリット発電所がある

*3:最低競り価格(必要燃料数)の表記

*4:最低競り価格14の廃棄物発電所はこのゲームでのキングオブゴミ

*5:石炭発電は、10(2)のが使うか

*6:炭or油の発電に、省エネ発電29(1)がある。私的に中盤最強

*7:石炭・石油発電所は、必要燃料が少ないタイプがある。(それぞれ、25(2)、35(1)。) 

*8:風力じゃなくて、夢のパナウェーブ核融合発電

*9:石炭・石油発電所は、必要燃料が少ないタイプがある。(それぞれ、42(2)、40(2)。) 

*10:拡張発電所カードセットでは、燃料2つで発電量「8」(最低競り価格:50)が存在するが