ドヤジのメモ帳

ドヤジのメモ帳

Dungeon Crawl   


 獣の死体を丁寧に切り裂き、肉の切れ端をかいつまんで食べるホビット
 問題は、その死体が嫌な匂いが漂うほど腐っていること。
 常人が食べたら確実に病気になりそうであった。
 しかしそれを平然と食べるホビット。その首にある護符がかすかに光った気がした。


獣の棲み家に逃げ込んだ時の彼は、強敵との度重なる撤退戦で物資が尽きかけていた。
食料も尽きかけ、耐火の指輪の代わりに滋養の指輪をわざわざはめるほど、食料消費を抑えていた。


ここに来て風向きは変わりだす。獣の棲み家での激闘を含む探索の結果、道中何度か危険な目には遭ったものの、獣の棲み家をあらたか探索しつくすころには、物資を食料含めて十分な補給を行うことが出来たのだ。


収穫の一つがこの「悪食の護符」。
これを身につけた者は、どんなに不衛生な食べ物も食べられるようになり、しかも食べても、毒や瘴気に犯されてない食べ物ならば病気にはならなくなるという。
これで、彼は食べ溜められるだけ食べることができるようになった。


もう、彼が餓死することはまずないだろう。


最も、彼の防御面の弱さはほとんど解決していない。
毒への耐性と透明なものを見る能力がこの先ますます必要になると思われる。
しかし、彼はここでも、そのような能力を与える物を手に入れることはここではできなかった。


【淵でもがく小さきものよ……】
<第12話:食料問題解決>