ドヤジのメモ帳

ドヤジのメモ帳

Dungeon Crawl   

 

次に左側に進んだ彼。オークの魔術師や司祭が待ち構えていた。
右側と同じようにそれらは蹴散らされ、彼は悠々と奥のお宝を手に入れるはずだった。


のだが、ここで、オークの魔術師が透明化の魔法を唱える。彼の視界からオークの魔術師の姿が消える。
オークの魔術師が近寄ってきた気配を感じ取ろうとしながら待ち構える彼。
普段なら、奴は透明になって見えない相手でも、落ち着いてのこのこ近寄ってきたところを突き返せば倒せる相手。


だが、広間なために、透明なオーク魔術師の位置がわからない。そしてそれをいいことに透明なオーク魔術師は遠くから魔法の炎を投げつける。


いらだつ彼、そこに鋭く鈍い強烈な痛みが彼を襲う。オーク魔術師のものではない。それにしては素早すぎる。
彼は前に何度か似たようなものに襲われた経験を思い出す。謎の見えない敵。
その刹那、彼は自らの死線が見えた。


瞬時に瞬間移動の巻物で距離を取ってすぐに怪我の治療の薬を飲みつつテレポートの巻物を読む。
命からがら逃げ出す。彼はもう、その砦に近づくことはないだろう。



……という大方の予測を裏切り、彼はしばしの休息のあと、すぐにその砦に戻ってきた。
なんとしてでも、あの砦を制圧するという固い意志。その意志も命あってのものなのだが…


だが、彼はあの謎の見えない敵を倒すことに成功した。なんとか、砦の入り口の一直線の通路におびきよせ
そこで、明らかな敵意、鋭く鈍い強烈な痛み、を確認すると、目の前に向けて掠奪のワンドを連射する。


と、敵意がなくなった。あの謎の見えないプレッシャーはとりあえず倒せたのだ。


その後、その砦は彼によって制圧される。
残りの中央の広間には、なにやら何かの儀式なのかわからないがオークの像が立てられており、それを守るためにとオークの大司祭が待ち構えていたが、そこにいたオークは全て、彼によって結局は無残に刺し殺されたという。


かくして、ひとつの、名も残らない、オークの砦は、落ちたのだ。


【淵でもがく小さきものよ……】
<第16話:砦が落ちていく過程とともに-続->