ドヤジのメモ帳

ドヤジのメモ帳

Dungeon Crawl   

 

指輪が2つ、そのホビットの両指に一つずつ、きらきらと光る。


片方は、毒を受け付けなくなる指輪。
あの砦があった下の階で拾うことが出来た。


もう片方は、透明なものを見ることが出来ることができる指輪。
こちらも同じく砦があった下の階で拾うことが出来た。


どちらもそれほど貴重なものでもないが、彼はこれらの能力を切実に欲しがっていた。


毒を受け付けなければ、沼に、蛇穴に、蜂の巣に、巣くう毒性の怪物。
あれらがもうそれほど怖い存在でなくなるのだ。もう逃げ回ることはない。立ち向かえる。
いつか巣ごと殲滅することもあるだろう。


そして、透明なものを見る能力。この能力を手に入れた時、彼の第一の逆襲が始まる。
あの、彼を散々苦しめた、謎の見えない敵。見えざる恐怖。あれを一掃することができるのだ。


手始めに獣の棲み家の入り口近くで奴と思しき者に襲撃された場所に向かう。
と、見慣れない奇妙な怪物がいることに気づく。間違いない、あれだ。
半透明がかっているが、霊視の指輪の効力で相手の姿ははっきりと見える。
どうやら彼の存在にまだ気づいていないらしい。


彼は、奴が気づく前に、奴を、今までの恨みをこめて一気に刺し貫いた。


【淵でもがく小さきものよ……】
<第17話:耐毒、霊視、逆襲せよ。>