ドヤジのメモ帳

ドヤジのメモ帳

Dungeon Crawl   

 

獣の棲み家には3つの特別なフロアへの入り口があるという。


一つ目が、スライムやジェリーの巣くう場所。
酸を撒き散らすジェリーやそれ以上のやっかいな軟体物が巣くう場所なため
彼はここには立ち入るつもりは今のところはない。


二つ目が、蛇やナーガの巣くう場所。
蛇やナーガの主な攻撃方法は、毒。
毒の耐性を着けた彼にはもうあまり怖いものではない。
ただ、ここにはプレートメイルできっちり固めた重戦士をも瞬時に殺す恐ろしい蛇がいるという。
軽装な彼としては、もう少し良い防具を見つけてからここに行きたい。


そして三つ目が…


……見つからない。
彼が普通に歩いていける範囲に入り口がなかったのだ。おそらく壁の奥に隔離されて広間がどこかにあり、そこに入り口があるのだろう。
彼は、このような部屋を発見する最も良い方法である、このようなこともあるかもしれないと思ってキャンプ場所に取っておいた魔法の地図の巻物を持って探しに行った。


あった、行ける場所から壁によって完全に隔離されている部屋が
掘削のワンドで掘り、その場所への道を開く。


……しかし、そこにはその入り口はなかった。


代わりに、透明化能力を授ける指輪を拾う。
これで、あの片手では持てない長い棒をいちいち構えなくても、透明になることができるようになったが
彼にとって、それは便利といえば便利だよね、程度の品である。


でも、彼は霊視の指輪の代わりにそれをはめる。
あの、「透明なアイツ」らしきものが現れたら即座に付け替えればいいし、そう出るものでもないはずだ。


問題は、その3つ目のフロアへの入り口を探すための、魔法の地図の巻物はもう持っていないことである。


【淵でもがく小さきものよ……】
<第18話:探索行>