ドヤジのメモ帳

ドヤジのメモ帳

Dungeon Crawl   


壁に隔たれた向こう側に何か空洞があるかどうかを調べる方法は
魔法の地図の巻物だけではないといえばないのだ。


その一つの方法に、それを覗き込むと周囲の地図が映しだされるという霊眼の水晶玉があるのだ。
だが、水晶玉は危険をはらむ魔法の品。
水晶玉の中には、それを覗き見る者の視点を水晶球に拘束させてしまう恐るべき邪悪な物もある。


彼は思い出す。探索の途中、周囲の地図が映しだされる水晶玉があったのである。
だが、その水晶玉は周囲の地図が映す代わりに覗き込む者の魔力を全て吸い取ることもある危険な品。それに彼にが持ち運ぶには重すぎたので、ダンジョンのどこかに捨ててきたのである。


急いで捨てたと思わしき場所を探す彼。幸いなことに、その水晶玉はすぐに見つかった。
そして、すぐさま、水晶球を片手に獣の棲み家の壁際から水晶球を覗き込む彼。
だが、思うように見つからない。水晶球は時たま彼の魔力を吸い取り、彼を精神的に疲弊させる。


あきらめかけ、ふと神様に祈った時、オカワル様から六尺棒が送られてきた。
六尺棒を彼は振り回さないが、一応神様からの贈り物なので装備するだけしてみる彼。


と、その六尺棒は、念を込めて発動させると周りの地図を頭の中に映し出す代物であった。すぐさま、発動する。
彼の頭の中に映し出される、魔法の地図の巻物よりは狭いものの水晶球よりも広い範囲の場所の地図。


あきらめるのをやめ、気を取り直し、水晶玉を投げ捨て、再び、獣の棲み家の壁際を六尺棒を構えて空洞を探す。


しばらくして、壁に遮られ、周りから隔離されていた空洞を発見。
そこを掘削のワンドで開通させす。
ほどなくして、その壁に遮られていた空洞の中より、第三の特別なフロア『沼』への入り口が見つかった。


【淵でもがく小さきものよ……】
<第19話:周辺感知>