ドヤジのメモ帳

ドヤジのメモ帳

Dungeon Crawl   


ゾットのオーブを求めてさまよう冒険者はそのホビットだけではない。
最初に彼を大鎌で切り殺そうとした「シグムント」もその一人らしい。


それらの冒険者は例外なく、他の冒険者に敵対的である。
そいつらにはまともな生気は感じられない。アンデットではないのだが
彼を見かけると即座に武器を構え、魔法を唱え、彼を殺そうとする。
…もっとも、そいつらと相対する、彼も同じことをするのだが。
この前相対した敵は、そもそも相手が気づく前に短剣で急所を刺し殺している。


今も目の前に一人。彼の前に立ちはだかる。
『この世の全ては幻だ!』
その冒険者は彼に向かってそう叫んだ。なぜそんな言葉を、今、彼めがけて、叫んだのかがわからない。
そんな言葉に気をも留めずに、彼は短剣を振りかざし、目の前の冒険者と戦う。
その冒険者は人間だったため、彼より一回り大きい、だがそんなことはもはやどうでもいいこと。
普通に力の差では彼のほうが圧倒的に上だった。少しの時間ののち、その冒険者は倒れた。


彼はその死体をオカワル様にいつものように捧げ、持ち物はその場に放置して、先に進んだ。


<第38話:この世の全ては幻だ。立ちふさがる壁を蹴散らし進め>