ドヤジのメモ帳

ドヤジのメモ帳

Dungeon Crawl   


上中央の部屋。そこの部屋だけ、広間と呼ぶにはやや狭い。


その部屋には隣の広間から見える位置で確認できる敵はオーブの守護者が3体。
もっといるはずである。そう思った彼は奴らをおびきよせる。
ワンドをふりかざす。氷のビームがまとめて奴らを刺し貫く。


奴らを隣の広間でまとめて片付けた彼は、いよいよ、上中央の部屋に立ち入った。
そこには、その部屋の中央には、彼の目的の品、死ぬような思いを何度もした末での最終目的の品、
である『ゾットのオーブ』が飾られていたのだ。あれを持ち帰れば全ては終わるのだ。


だが、そこの部屋には、他にもオーブの守護者が5体ほど。
さらに、燃え盛る炎の球体が、揺らめいていた。


炎の球体。原初より燃え盛るという炎の塊が意志を持ったもの、が、このゾットには存在したのである。
奴は伝説の原初よりの炎。奴から放たれる炎の威力はそこまでの炎使いを名乗る程度の奴らの比ではない。こんな話がある。
彼の前にゾットのオーブを手に入れるべくここに挑んだ冒険者の伝説。
その冒険者は、どんな攻撃も軽々とかわすほどにまで成長した冒険者だった。彼よりも体格がいいので彼よりも耐久力もあっただろう。
しかしその冒険者を炎の球体はファイアーボールの一撃で焼き殺したのである。
そこまでの炎を操るさすが原初よりの炎、それだけでなく、その原初からの揺らめきは生ける者を奇形へと変化させるのだ。


彼は、そこでこともあろうに静寂の魔法を唱えた。
静寂、彼の呪文とともにあたりから音が消え去る。
あの炎の球体は…揺らめくだけで何もしてこない。
その炎の球体が内に込める炎のエネルギーを外部に飛ばすには、呪文が必要だったのだ。
そして、炎の球体は直接攻撃する術を知らなかったのだ。
原初よりの炎は、こんな手段で無力化されてしまった。
その間に短剣を必死に懸命に振りかざす彼。
あたりに音が戻った。すぐにふたたび静寂の呪文を唱える彼。短剣。
奴は原初よりの炎。短剣の衝撃で簡単に消滅させれる相手ではない。
だが、その静寂は奴の攻撃の手段を全て奪っている。いつか…


炎の球体は消滅した。その勢いで残るオーブの守護者に挑む彼。


最後に部屋に残ったものは、彼と中央に飾られている『ゾットのオーブ』のみ。
彼はついに『ゾットのオーブ』を手に入れる。


だが、彼が『ゾットのオーブ』を手に入れた瞬間、あたりに異変が起きた。


【淵でもがく小さきものよ……】

<第46話:ゾットの脅威、原初の炎>